事業計画

令和5年度 事業計画

Ⅰ.策定基調

Ⅱ.事業計画

Ⅰ.策定基調

 我が国の社会・経済に多大な影響を及ぼした新型コロナウィルスはようやく収束を迎え、社会・経済活動も正常化に向け活発な動きを見せ始めた。
 一方、ウクライナ戦況が長期化するなかで、燃料価格をはじめとする原材料価格の高止まりとともに車両及びタイヤ等の資材価格の上昇も加わり、労働力不足も相まってトラック運送業界は引き続き厳しい経営環境が続いている。
また、トラック運送業界の働き方改革とその社会的影響が、いわゆる「2024年問題」として内外でクローズアップされ、将来的な輸送力不足への懸念が強まるとともに、持続可能な物流の重要性に対する社会的な関心が一段と高まっている。
 このため、トラック運送業界の大半を占める中小トラック運送事業の生産性向上とこれを実現するための標準的な運賃をはじめとする適正運賃の収受が一層重要な課題となり、荷主との商習慣の見直しや物流DXをはじめとするあらたな革新的な取組みが喫緊の課題となっている。
 これに対し、業界の圧倒的多数を占める中小事業者の経営資源は乏しく、自助努力には限界があり、協同組合を活用した相互扶助による経営資源の補完が課題解決の重要な鍵となる。このような状況を踏まえ、当連合会は会員協同組合・連合会並びに傘下の組合員事業者との連携のもと、さらに、(公社)全日本トラック協会との連携を強めつつ、全国組織として規模のメリット創出を図りつつ会員皆様の事業支援と発展に向け、令和5年度の各種重点事項並びに重点事項について積極的に取り組むこととする。


1.最重点事項(2024年問題への取組み)

(1)高速道路割引制度問題に対する取組み


(2)燃料問題への取組み


(3)働き方改革(改善基準告示)への取組み


(4)(公社)全日本トラック協会との連携による協同組合活用方策への取組み


1.重点事項

(1)高速道路問題に関する各種要望活動の推進

・各種料金の見直しに向けた要望活動を推進するとともに高速道路に係る諸課題の検討を行う。

・「高速道路特殊車両通行許可制度に関する勉強会」等を通じた駐車施設拡充等道路利用環境の整備に係る要望活動を推進する。


(2)燃料共同購入事業の推進

・高騰する燃料価格情勢に対応し、燃料共同購入事業の普及拡大を図るとともに、国内外の燃料情勢の情報収集と提供に努める。


(3)WebKIT2プラスの普及拡大

・ウェブキットの利用料値上により、将来にわたる安定的な運営基盤を確立するとともに、働き方改革に有効なDXの取組みとしてウェブキットのさらなる普及を推進する。


(4)自動点呼機器の本格普及に向けた取組み

・乗務後自動点呼機器認定制度の施行に伴い、本格的な普及拡大に向けた販売・サポート体制を強化するとともに、乗務前自動点呼機器の認定にむけて諸活動を推進する。


(5)保険事業の推進

・協同組合及び組合員の事業リスク軽減とコスト削減に向け、各種保険の商品性向上と一層の普及拡大を図る。


(6)各種販売事業の推進

・血圧計、ドライバー研修テキスト等、トラック運送事業者の安全および健康管理等や経営コスト削減に資する各種商品を取扱う。


(7)その他

・労働時間改善等トラック運送事業者の働き方改革等に資するため、次世代経営者協 議会等による調査研究活動を推進する。



Ⅱ.事業計画

総務委員会所管事業計画

1.組織基盤の強化・基盤拡充

(1)会員増強

 日貨協連組織拡大に向け協同組合並びに連合会の組織化に伴う会員の増強に努める。


(2)ウィズコロナに対応した会議の推進

 アフターコロナに対応し、ウェブ会議も併用しつつ対面型の各種会議等を通じて会員と積極的な情報交換、意見交換の場を設定する。


(3)(公社)全日本トラック協会と連携した協同組合活用方策への取組み

 小規模トラック運送事業者のための協同組合活用ガイドに基づき、全日本トラック協会、各都道府県のトラック協会、全国中小企業団体中央会、商工組合中央金庫等と連携しながら組織化への取組をサポートしていく。


(4)自動点呼機器の普及拡大

 自動点呼機器のさらなる普及推進に向け国土交通省の「運行管理高度化検討会」に引き続き積極的に協力する。「乗務後自動点呼(条件付き点呼自動化)制度」が施行され本格普及に向けた環境が整い、引き続き令和5年度「運行管理高度検討会」の「乗務前条件付き自動点呼に向けた調査・実証実験」に積極的に対応とし、「乗務前、乗務後点呼における完全点呼自動化」にむけ、協力していく。また、今後予想される類似商品との差別化を図るとともに廉価機器取扱いの検討や利用者の使い勝手向上を図る。


(5)事務局体制の整備

 昨年度事業部とKIT事業部の統合を行った。職員の更なる複数商品知識の習得を 進め、営業活動の高度化、効率化を図る。


2.通常総会並びにトラック運送事業協同組合全国大会の開催・準備

(1)令和5年度全国大会(石川大会)

 令和5年度に開催する第59回通常総会並びに第17回トラック運送事業協同組合全国大会を地元の石川県内の会員協同組合の協力を得て、令和5年6月14日(水)にホテル日航金沢(石川県金沢市)において開催する。


(2)令和6年度全国大会(福島大会)

 令和6年度に開催する第60回通常総会並びに第18回トラック運送事業協同組合全国大会については、令和6年6月12日(水)にホテルハマツ(福島県郡山市)において開催する予定とし、開催にあたっては、地元の福島県内の会員協同組合の協力を得て準備を進める。


3.広報活動の展開

 各種最新情報をすみやかに発信し、日貨協連と会員連合会・協同組合および組合員が一体となり、業界が抱える諸問題等に迅速かつ効果的に対応できるよう、ホームページ、メールマガジン、機関誌(月刊「日貨協連」)等による広報活動を積極的に推進する。
 また、日貨協連並びにトラック運送事業協同組合の諸活動を広く周知し、既存組合員の事業利用拡大や新規組合加入者の増加に資するため、業界専門紙(誌)各社に対し情報提供を行うなど、積極的な広報活動に努める。
 紙媒体である機関誌(月刊「日貨協連」)についてはデジタル配信への切替等今後のあり方について検討していく。


4.会員事務局役職員連絡会議

 会員連合会・協同組合の役職員を対象とし、会員の事業計画策定等に資するため、日貨協連の事業計画及び日貨協連が取組む諸事業の説明を行うとともに協同組合や組合員が抱える諸課題等について意見交換等を行う。 また、会員相互の人的交流を深めるため、交流会についても取り組んでいく。


5.調査研究事業

 中小トラック運送業界を取り巻く環境は、急速に変化している。時代の変化に合わせて全ト協からの受託事業を複数受託し、日貨協連の会員連合会・協同組合並びにその組合員事業者の将来につながる有益な情報を会員へ発信できるよう調査研究事業を実施する。


6.青年組織の活動

 協同組合の次代を担う若手経営者で構成する次世代経営者協議会については、従来より取組んでいた自動点呼機器の実証実験が成果となり、乗務後自動点呼機器認定制度が昨年12月認定され、1月から制度創設と活動の成果が結実している。
 引き続き活動内容の充実を図るとともに次世代経営者協議会役員の常任委員会への参加や全ト協の委託事業として実施する各種調査研究事業を積極的に展開する。





政策・高速道路委員会所管事業計画

【高速道路関係】

1.高速道路料金・車両制限令等要望活動の実施

 国及び与党等に対し、主に以下の要望活動を積極的に展開する。

(1) 高速道路料金の現行水準の大幅な引き下げ(用地代相当分の控除等)

(2)大口・多頻度割引実質最低50%以上の恒久化と契約単位割引の維持

(3) 本州四国連絡高速道路の料金割引の拡充等

(4) 大都市圏高速道路に関する料金等への対応

(5)混雑状況に応じた高速道路料金格差の設定

(6)車両制限令の緩和措置(軸重10トン→11.5トン)

(7)利用約款に基づく協同組合への連帯責任の緩和

(8)SA・PA等高速道路上における駐車スペース、休憩施設整備・拡充

(9)高速道路利用料金請求にかかる利用明細データ無料化・オンライン化 等


2.高速道路における諸問題に関する勉強会の対応

 高速道路問題等において、国土交通省道路局、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構、各高速道路会社及びトラック運送業界((公社)全日本トラック協会、日貨協連)で定期的な意見交換の場として、設置された勉強会に引き続き参加し、トラック運送業界の要望・課題を提議する。


3.高速道路に関する諸課題検討会

 現行の高速道路割引制度の料金水準及び平成26年スタートした大口多頻度割引が10年目を経過し、令和6年度に見直しの時期を迎える。
 この高速道路料金制度の本格的な見直し時期にあたり、さらにトラック運送業界の2024年問題等に対応するため、業界に造詣の深い有識者等を中心メンバーとする「高速道路に関する諸課題検討会を新たに設置し、日貨協連の従来からの要望事項である「大口多頻度割引実質最低50%以上の恒久化」及び「高速道路料金の用地代金相当分の控除による高速道路料金の大幅な引き下げ」等の実現に向け、高速道路料金に係る理論武装を行い、所管に提言する。


【政策関係】

1.燃料課税等への対応

 燃料油価格激変緩和補助金や燃料課税の減税等について、(公社)全日本トラック協会と連携し、積極的に要望活動を展開する。


2.(公社)

全日本トラック協会等関係団体との連携強化
高速道路問題、燃料問題等において、(公社)全日本トラック協会、全国中小企業団体中央会等の関連団体との連携を強化し、課題の洗い出し、問題意識の共有、要望活動を行う。
(2)高速道路問題、燃料問題に係る課題及び取組み等について、国内外の動向を調査し、会員に対して情報提供を行う。




経済事業・燃料対策委員会所管事業計画

1. 経済事業・燃料対策事業の活動方針

 傘下連合会・組合・運送事業者をはじめとした運送業界の発展並びに組合員事業者の経営コスト削減のために各種経済事業に積極的に取り組むことで取扱商品の一層の普及拡大や燃料の安定供に取り組む。
 また、組合宛アンケート等の実施により、組合ニーズを把握し、新たな取扱商品の開拓に努めるとともに、従来型の事業説明会の開催に加え、Web会議での事業説明会を実施するなど、各種商品のPRと普及活動を推進する。


2. 経済事業

(1)損害保険事業

①日貨協連新貨物補償制度

 令和元年に刷新された「日貨協連新貨物補償制度」について、「簡便な契約方式」「求めやすい保険料」「充実した補償」を全面的にPRし、一層の保険加入を促進する。  また、組合加入意向のある事業者へ販売対象拡大や更なる保険料の引下げ等により普及を図る。

 ≪目標≫ 加入社数:1,500事業所 (前年対比+200社)

②日貨協連取引信用保険

 「日貨協連取引信用保険」は、共同購入事業を行っている協同組合に対して、「与信管理の充実・向上」「貸倒損失の回避及び対外信用力の向上」「キャッシュフローの安定化」に寄与するもので、積極的に周知を図るとともに加入を促進する。

 ≪目標≫ 加入組合数:109組合(前年対比+5組合)

③ETCコーポレートカード盗難保険

ETCコーポレートカードの紛失や盗難による第三者の不正使用に備えるため、「ETCコーポレート盗難保険」の加入を積極的に促進する。


(2)生命保険事業

①全国トラック事業グループ保険

 「全国トラック事業グループ保険」のさらなる普及・拡大に向けて各都道府県及び日貨協連会員連合会・協同組合と幹事保険会社を中心に一層の加入を促進する。

 ≪目標≫ 加入人数:13,500人(前年対比+500人)

②全国トラック事業生活習慣病保障プラン

 「全国トラック事業グループ保険」について、新たに生活習慣病に関わる保障プランを追加し、一層の加入を促進する。

 ≪目標≫ 加入人数:1,600人(前年対比+300人)


(3)日貨ETCスルーカード事業

 令和3年4月より保証金または、銀行保証差入等の制度改正を実施し、新たな事業規約の策定とともに運用規定、運用契約書、手続き要領を制定した。
 新たな制度の枠組みのもとで、連合会・協同組合における「日貨ETCスルーカード事業」の普及・拡大を図るとともに、利用状況を調査し利用実態に合わせた適切な運用を引き続き実施する。

 ≪目標≫ 年間利用額:2,700百万円(前年対比:±0円)


(4)販売・斡旋事業

①事業用トラックドライバー研修テキスト

 全日本トラック協会が制作する法改正に合わせた令和5年度版の事業用トラックドライバー研修テキストを引き続き積極的に販売する。

②業務用血圧計

 運転者の健康状態や疾病につながる生活習慣を適切に把握し管理するため、業務用血圧計の販売を推進する。  また、全日本トラック協会で引き続き助成金が措置される見込みであり、当該制度の活用を周知し普及を図る。

③自動点呼機器

 「自動点呼機器」の普及に向けた調査研究事業を・拡充するとともに、自動点呼の優位性を実証し乗務前・乗務後の完全自動点呼」の国交省機器認定の第一号認定に向けた取り組みを推進する。また、従来のロボット型自動点呼機器に加え、パソコン型の自動点呼機器の従来のロボット型自動点呼機器に加え、パソコン型の自動点呼機器の本格的な普及・拡大にけた取り組みを推進する。

 ≪目標≫ 契約台数:年間100台(延べ:240台)

④その他

 会員連合会・協同組合が独自で行う共同購入事業の実態を踏まえ、スケールメリットを活かした取扱商品の拡大に努めるとともに、「AED(自動体外式除細動器)」等の機器を斡旋販売するなど関係機器の取扱いを行う。


(5)各種経済事業の商品展示や説明会の開催

 関心の高い「自動点呼機器セミナー」をはじめとした各種研修会に合わせて、各種経済事業の商品展示や説明会をWeb会議方式も含めて積極的に開催する。


3.燃料対策事業

(1)燃料共同購入事業(燃料価格交渉)

①交渉力強化

燃料価格交渉に際して、参加組合及び取扱量の増加を図り、価格交渉力を強化する。

②価格指標

全国平均価格を参考として他団体の動向や国内外の原油動向、石油市況などを勘案し価格交渉に臨む。

③会員への情報提供

会員連合会・協同組合が実施している燃料共同購入事業に資するため、会員の協力を得て情報収集を図り、日貨協連燃料価格交渉の際の資料を提供する。

④加入促進

燃料価格交渉力を強化するためにより多くの組合員に加入を働きかけ、取扱い規模の拡大を図る。

 ≪目標≫ 組合数:6連合会52組合(前年対比:+2組合)

⑤研修会の開催

燃料共同購入事業を巡る情勢について、各種委員会・研修会・全国担当者会議等を活用して研修を行う。


(2)燃料問題対策

①今後の燃料動向を踏まえて、必要に応じて、燃料価格激変緩和措置や燃料課税の減税等の要望活動を政策・高速道路委員会と連携して行う。

②「カーボンニュートラル」に向けた「次世代トラックと燃料の動向」について、研究を行なう。


(3)調査事業

①日貨協連全国燃料価格調査
 燃料共同購入事業の価格を毎月調査・分析し、会員連合会・協同組合に対して情報提供を行う。

②協同組合の燃料共同購入事業の実態調査の実施
 燃料共同購入事業を円滑に推進するため購入形態や価格にかかわる内容を含めた実態調査を行う。



KIT・情報化委員会所管事業計画

1. 活動方針

 令和2年度からスタートしたウェブキット中期ビジョン2025では、令和6年度までの5年間で達成すべき主な取り組みを定めている。
 本事業計画において、ビジョン2025の目標を達成できるよう、令和5年度に実施すべき取り組みを次のとおり定める。


2. 運営基盤強化

 ウェブキットシステム利用料の値上げにより、安定的かつ永続的なシステムの運営態勢を担保するために必要な財政的な基盤の強化を図り、ウェブキットの利便性の向上に資するシステムの改善やサービス水準のさらなる向上に取り組む。


3. 成約運賃指数等の統計データの活用

公的機関における統計データの一部として利用される成約データの提供等を継続して実施するほか、トラック運賃の直近の傾向を示す指標として広く用いられる成約運賃指数について、より実情に即したデータとすることを目的として、地域や品目等の区分による詳細化の検討を実施する。


4. 研修会及び交流会の実施

 会員間の相互理解やビジネス機会の拡大に資する研修会及び交流会について、全国の会員を対象として経営者層と実務者層に区分して東京/大阪で開催するほか、地域間や業態別に交流を図ることを目的とした交流会をニーズに基づいて企画し計画的に開催する。


5.システムの改修と検証

 適切なシステムの監視と保守を実施して安定稼働の確保に努めるとともに、インボイス制度の要件を満たすために必要なシステム改修を実施する。さらに、ウェブキット2プラスの各種の機能について、利用実態や満足度の観点から検証を行い、利用者のさらなる利便性の向上を図る。


6.周知・広報活動

 深刻化する人手不足や時間外労働の上限規制への対策が迫る中、経営資源の有効活用に資するツールとしてウェブキットの浸透を図るため、説明会等の継続的な周知・広報活動を実施し、新規加入者の増加や会員の利用率向上等に取り組む。




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