事業計画

令和6年度 事業計画

Ⅰ.策定基調

Ⅱ.事業計画

Ⅰ.策定基調

 トラック運送業界ではいわゆる「物流の2024年問題」が内外でクローズアップされ、将来的な輸送力不足への懸念が強まり、持続可能な物流の重要性に対する社会的な関心が高まっている。
 このように業界を取巻く社会・経済環境が激しく変動するなか、傘下組合・連合会と組合員事業者の立場に立ち、各種事業に積極的に取り組むこととする。


1.最重点施策(物流の2024年問題への取組み)

(1)物流の2024年問題に対応する協同組合活動の推進

(2)高速道路割引制度問題に対する取組み

(3)燃料問題への取組み

(4)各種経済活動の推進

(5)WebKIT事業の推進

2.重点施策

(1)高速道路問題に関する各種要望活動の推進

・大口・多頻度割引制度における実質最大50%割引の恒久化の要望活動を推進する。


(2)燃料共同購入事業の推進

・高騰する燃料価格情勢に対応し、燃料共同購入事業の普及拡大を図るとともに、国内外の燃料情勢の情報収集と提供に努める。


(3)WebKIT2プラスの普及拡大

・トラック運送事業の生産性向上に資するため、WebKITの一層の普及拡大を図る。


(4)自動点呼機器の本格普及に向けた取組み

・乗務後自動点呼機器認定制度の施行に伴い、本格的な普及拡大に向け商品ラインナップの拡充及び販売・サポート体制を強化するとともに業務前自動点呼機器認定にむけて諸活動を推進する。


(5)保険事業の推進

・協同組合及び組合員の事業リスク軽減とコスト削減に向け、各種保険の一層の普及拡大を図る。 


(6)各種販売事業の推進

・血圧計、ドライバー研修テキスト等、トラック運送事業者の安全および健康管理等や経営コスト削減に資する各種商品を取扱う。


(7)その他

・次世代経営者協議会等によるトラック運送事業者の働き方改革対応及び生産性向上のための調査研究活動を推進する。



Ⅱ.総務委員会所管事業計画

1.組織基盤の強化・基盤拡充

(1)会員増強

 日貨協連組織拡大に向け協同組合並びに連合会の組織化に伴う会員の増強に努める。


(2)自動点呼機器の普及拡大

 自動点呼機器のさらなる普及推進に向け国土交通省の「運行管理高度化検討会」に引き続き積極的に協力する。「業務後自動点呼(条件付き点呼自動化)制度」が施行され本格普及に向けた環境が整い、引き続き令和6年度「運行管理高度検討会」の「業務前自動点呼に向けた調査・実証実験」に積極的に対応とし、「業務前、業務後点呼における完全点呼自動化」に向け協力する。


2.通常総会並びにトラック運送事業協同組合全国大会の開催・準備

(1)令和6年度全国大会(福島大会)

 令和6年度に開催する第60回通常総会並びに第18回トラック運送事業協同組合全国大会を地元の福島県内の会員連合会・協同組合の協力を得て、令和6年6月12日(水)にホテルハマツ(福島県郡山市)において開催する。


(2)令和7年度全国大会(東京大会)

 令和7年度に開催する第61回通常総会並びに第19回トラック運送事業協同組合全国大会については、令和7年6月12日(木)にホテルニューオータニ(東京都千代田区)において開催する予定とする。なお、開催にあたって地元の東京都内の会員連合会・協同組合等の協力を得て準備を進める。


3.広報活動の展開

 各種最新情報をすみやかに発信し、日貨協連と会員連合会・協同組合および組合員が一体となり、業界が抱える諸問題等に迅速かつ効果的に対応できるよう、ホームページ、メールマガジン、機関誌(月刊「日貨協連」)等による広報活動を積極的に推進する。
 また、日貨協連並びにトラック運送事業協同組合の諸活動を広く周知し、既存組合員の事業利用拡大や新規組合加入者の増加に資するため、業界専門紙(誌)各社に対し情報提供を行うなど、積極的な広報活動に努める。


4.会員事務局役職員連絡会

 例年通り、年2回の全国の会員連合会・協同組合の役職員向けに「会員事務局役職員連絡会」を開催し、日貨協連の事業計画及び日貨協連が取組む諸事業の説明を行う。
 また、全国9ブロック毎の「ブロック連絡会」を開催し、各地域の会員連合会・協同組合が抱える諸課題等について意見交換等を行う。


5.調査研究事業

 「物流の2024年問題」への対応等、急激に変化する中小トラック運送業界を取り巻く経営環境を背景に、全ト協から「調査研究」を受託し、日貨協連の会員連合会・協同組合並びにその組合員事業者の発展につながる情報・分析を発信できるよう調査研究を実施する。


6.次世代経営者の活動

 協同組合の次代を担う若手経営者で構成する「次世代経営者協議会」の活動を引き続き実施する。
 「中継輸送の実証実験」等をテーマとした調査・研究を実施するとともに、「次世代経営者協議会役員」の常任委員会への参加により、日貨協連の各事業への理解を深め、各種委員会の活動内容をサポートする。





Ⅲ.政策・高速道路委員会所管事業計画

1.政策・高速道路委員会の活動方針

(「物流の2024年問題」への対応が差し迫られるなか、トラック運送事業の生産性向上が重要な課題となっており、高速道路の活用がより一層重要なポイントとなる。 このため、「大口・多頻度割引実質最低50%以上の恒久化と契約単位割引の維持」といった「高速道路」に係る諸問題に対する取組み等は役割を果していく上で極めて重要な課題であり、(公社)全日本トラック協会並びに全国中小企業団体中央会等と連携し、事業運営に係る諸問題の解決にむけ積極的に取組む。


【高速道路】

2.高速道路料金・車両制限令等に係る要望活動の実施

 国及び与党等に対し、以下の要望活動を積極的に展開する。
(1) 高速道路料金の現行水準の大幅な引き下げ(用地代相当分の控除等)
(2) 大口・多頻度割引実質最低50%以上の恒久化と契約単位割引の維持
(3) 3つの料金水準の「普通区間」料金水準への統一
(4)複数経路で利用量に大きな差がある場合の料金体系による誘導策の導入
   (「山陽自動車道」と「中国自動車道」の調査に基づく社会実験)
(5)車両制限令の緩和措置(軸重10トン→11.5トン)
(6)利用約款に基づく協同組合への連帯責任の緩和
(7)SA・PA等高速道路上における駐車スペース(駐車マス数・幅)、及び休憩施設の整備・拡充
(8)高速道路利用料金請求にかかる差入保証金を2ケ月分以下へ引下げと利用明細データ無料化
(9)異業種協同組合の利用約款違反の撲滅


3.高速道路利用における諸問題に関する勉強会の対応

 国土交通省道路局、(独法)日本高速道路保有・債務返済機構、各高速道路会社及びトラック運送業界((公社)全日本トラック協会、日貨協連)による定期的な意見交換の場として設置された勉強会に参加し、高速道路利用における諸問題の解決に取組む。


【政 策】

4.(公社)全日本トラック協会等関係団体との連携強化

 (公社)全日本トラック協会並びに全国中小企業団体中央会と連携し、協同組合事業の普及啓発、組織化を図るとともに協同組合の事業運営に係る諸問題の解決に取組む。



Ⅳ.経済事業・燃料対策委員会所管事業計画

1.経済事業・燃料対策事業の活動方針

 組合員事業者の経営コスト削減に資するための各種経済事業については、(公社)全日本トラック協会並びに各都道府県トラック協会等の関係団体との連携を密にし、各種商品の説明会の開催又は各種行事を活用した説明機会の確保などにより、取扱商品のPR活動を積極的に展開し、一層の普及拡大と拡充に努める。また、日貨協連正副会長・理事・各委員のネットワークを積極的に活用し、保険等の商品PRを図っていく。 一方、燃料対策事業については、燃料価格が高騰を続けるなかで、協同組合によるより一層安価な燃料の確保と安定供給に対するニーズが高まるなかで、激しく変化する石油情勢の把握とともに、傘下組合に対する的確な情報提供に努める。



2. 経済事業

(1)損害保険事業

①日貨協連新貨物補償制度

 「新貨物補償制度」が特徴とする「簡便な契約方式」「求めやすい保険料」「充実した補償」を全面的にPRし、三井住友海上火災保険㈱及び関係代理店との連携を密にし、各種説明会、会合等の説明機会を活用して日貨貨物保険の積極的な販売とともに一層の普及拡大に努める。
≪加入目標 令和5年度実績+100事業所≫

②日貨協連取引信用保険

 「燃料共同購入、高速道路共同利用等の各種経済事業を実施している協同組合の「与信管理の充実・向上」「貸倒損失の回避及び対外信用力の向上」「キャッシュフローの安定化」に資するため、「日貨協連取引信用保険」の販売に努める。
 なお、近年増加する倒産案件等の状況を踏まえ、取引信用保険の安定的運営を図るため、保険収支状況を踏まえた制度の一部見直しを図る。
≪加入目標は定めず、制度の安定化を重点目標とする。≫

③ETCコーポレートカード盗難保険

ETCコーポレートカードの紛失や盗難による第三者の不正使用に備えるため、「ETCコーポレート盗難保険」の販売を促進するとともに、より安価な保険料への見直しに努める。


(2)生命保険事業

①全国トラック事業グループ保険

 (公社)全日本トラック協会をはじめ各都道府県トラック協会の協力を得つつ、引き受け保険会社2者との連携を図り、各種説明会、会合等の説明機会を活用して、「全国トラック事業グループ保険」の一層の普及拡大に努める。
 なお、保険会社の引き受け割合についても、各社の取り組み状況等を勘案して適宜見直しを行う。
≪目標 加入人数 令和5年度実績+200人≫

②全国トラック事業生活習慣病保障プラン

 「全国トラック事業グループ保険」のオプションとして、「生活習慣病に関わる保障プラン」の一層の普及拡大に努める。
≪目標 加入人数 令和5年度実績+300人≫


(3)日貨ETCスルーカード事業

 協同組合・連合会の高速道路利用事業として活用されている「日貨ETCスルーカード事業」の運営とともに、カード会社の手数料還元のあり方について検討する。
≪目標 年間利用料 令和5年度実績±0≫


(4)販売・斡旋事業

①事業用トラックドライバー研修テキスト

 トラック運送事業者によるトラックドライバー教育を促進するため、(公社)全日本トラック協会が制作する「事業用トラックドライバー研修テキスト」の印刷版を販売する。

②業務用血圧計

 トラックドライバーの健康起因事故防止に資するため、健康状態把握や生活習慣病等の疾病予防に役立つ業務用血圧計の有用性に係る啓発とともに、(公社)全日本トラック協会の助成金制度の活用を図りつつ、業務用血圧計の販売と普及に積極的に取り組む。

③自動点呼機器

 トラック運送事業者の点呼の徹底と点呼業務の負担軽減のため、自動点呼機器「デスクトップ版」「ロボット版Kebbi」を販売するとともに、「業務前自動点呼」の早期実現に向けた国への要望活動に取り組む。
≪目標契約台数 年間150台≫
(デスクトップ版100台、ロボット版Kebbi50台)

 ≪目標≫ 契約台数:年間100台(延べ:240台)

④「トラックドライバー学習サービス」

 トラックドライバーに対して行う国の指導監督指針に基づく中小トラック運送事業者によるドライバー教育を支援するため、「トラックドライバー学習サービス~WEBラーニングサービス」を斡旋する。



3.燃料対策事業

(1)燃料共同購入事業

燃料共同購入事業の参加組合及び取扱量の増加に努めるとともに、協同組合の信用力を背景とした価格交渉力を一層強化することなどにより、より一層安価な燃料の確保に努める。


(2)燃料価格調査と情勢把握

全国の協同組合の共同購入による燃料価格の調査を毎月実施するとともに、各種石油関連メディア及び内外の団体等の情報を収集して燃料価格情勢の把握と会員組合に対する関連情報の提供に努める。


(3)協同組合の燃料共同購入事業の実態調査

燃料共同購入事業を円滑に推進するため、全国の協同組合による共同購入事業の形態や価格等にかかわる実態調査を行う。


(4)燃料問題対策

燃料価格が引き続き高騰を続けるなかで、(公社)全日本トラック協会並びに中小企業団体中央会等との連携により、国の激変緩和措置等の補助制度の継続または拡充等に係る要望活動を積極的に展開する。

Ⅴ.KIT・情報化委員会所管事業計画

1. 活動方針

 物流2024年問題に直面する中で、WebKITが中小トラック運送事業者の安定的な輸送力確保のために一層重要な役割を果たすことが期待される。
 特に、令和6年度においては、適正な運賃の取扱いを柱とする取引秩序の向上を図るためにWebKITの適正利用の促進に努め、品質と信頼を高めることで、さらなる利用者の増加と情報量の拡大を目指すこととし、以下のとおり取組事項を推進する。


2. WebKITの普及・拡大の推進

 都道府県トラック協会をはじめ、日貨協連会員組合・連合会との連携を強化し説明会を積極的に開催する等により、会員の増強に努める。


3. 研修・交流会の実施

 全国の会員を対象とする研修・交流会を積極的に開催するほか、地域の要請に応じて開催し、交流を深め利用促進に努める。


4. 取引秩序の向上及び適正利用の促進

 登録運賃や成約運賃の動向や標準的な運賃との比較に関する調査・観測を実施し、取引秩序の向上に資する観点から必要な対策を講じ、低額運賃の登録抑制の検討など適正利用を促進する。


5.規約・規程・ガイドラインの徹底及び見直し等

 WebKITの倫理や規範の遵守徹底を図るとともに、各種手続きの効率化を推進する観点から必要な見直しを行う。


6.システム改善の検討と実施

 実務者を中心とするワーキンググループにより、システムの改善に関する評価・見直しを行い、関係法令等の制度見直し及び機能向上に係る改修を実施する。


7.公的機関へのデータ提供等統計資料の有効な活用

 統計データを公的機関へ継続して提供するとともに、取引データの分析精度の向上に努める。




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